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わたしとなにがし

わたしがさまざまなものと場所を観察する。 抽象性と具体性/実験の場。

文章を書く

 何を書こうとしているのだろう。書く時に何を誰に伝えようとしているのだろう。尊敬する人物になりきって書くことは意味があるのだろうか。うわべだけでなく、その人の意識化されていない部分さえも真似できれば、その人になれるだろうか。
 あの人ならどう書く?
 この部分を読んだらあの人はどう思うか?
   脳内で声が聞こえる。
   複数の音がポリフォニーを奏で、世界を複雑にしていく。

 

わたしと考え

「何か疑問を持った時、それの答えが出るまで考える?」

「そもそも疑問を追求しようとする気さえ無い場合だってある」

「あまりにも考えない自分が嫌いです」

 

 

わたしと意図

「その文章には意図が含まれていますか?」
 私は夜闇の中にいた。
 //人と場所の情報を与えている。
 私は古本市に弱い。
 //私の情報、好きなものをあげている。

 

わたしとなぜ

「思考は問いに答えることで出てくる」
 バーゼルマンはそう言う。
「だから、いい問いを考えることが大事なんだ」
 そんなことみんな知っていると思った。
「疑問や納得のできなさ、わからなさから思考が生まれる。わかったというのは思考の果ての閃きだ。閃きだけを求めていては届かない。綿密で執拗なぷちぷちを一つずつ潰していくような根気が必要だ。疑問に答えていく。掘り下げていく。海に潜り底に住む海老を捕まえでもするように、自分の考えを捕まえるのだ」
「なぜを問いかけ続けるのだ」

 

 

 

わたしと嘘つき

「サイミングという言葉を知っているかね? 君は知らないと思うが、人を条件付けるための新しい手法でね。うちの工場で導入したところ作業効率が200%アップした。経常利益が2倍になったということだよ。その絡繰りを教えて欲しいかな?」
 ガードルードは口が裂けてるみたいに口角を上げている。圧倒的な上から目線と愉悦という感じだ。

「じゃあ教えて」
「単純に仕事すべてが楽しいと思うようになったのだよ。仕事をすることでドーパミンが出るよう脳の前頭葉に働きかけた。私の工場に来るとドーパミンが脳からあふれ出し、幸せとともに仕事をするのだ。休憩をとっている間は出なくなるから、彼らは休憩時間を減らして働くようになった。家に帰っても働ける時間が減るからなるべく遅くまで残業するようになった。もちろん私は早く帰るよう言ったさ。残業代も出せないぞと。それでもいいと彼らは言ったよ。最高の部下たちさ」
「仕事するのが気持ちいいのね」
「そう、気持ちいいのは大事だ」
 ガードルードは工場なんて持ってない。紳士服を着ているけれど、金持ちでも無い。よくみると糸の綻びが見えてくる。金持ちと偽っているただの嘘つきの中年だ。

 

わたしと物語

「おもしろい物語って何なんだろうね?」
 エヴィルが紫煙をくゆらせながら言った。
 どうやら書いている小説に行き詰まっているらしい。
「感動するものかな……」
「感動する。つまり感情が動くものか。胸が痛むような……そんな話か。絶望の中でかすかに瞬く希望。物語の正と負の落差や反転の大きさが身体に体感するおもしろさを直に伝えてくる気がするよ」