EVERYTHING IS

想起特訓。忘れかけたことを思い出すのだ。

舞城王太郎の記憶

 俺が好きな作家と言ったら舞城王太郎で一番初めに出会ったのは高校二年ぐらいの時、野球部の少し大きめの坊主が『阿修羅ガール』を読んでておもしれぇ、これ! と仲間たちと騒いでいた。学級文庫的な教室の後ろのBOXの中にソフトカバーの『阿修羅ガール』はあった。セーラー服を着た女子高生が線路を横切っている表紙だったと思う。奴らが喜んでいるのが最初の性描写的な部分だったから、けっ、こんなもんたいしたこと無いと思っていた。しかし、実際のところ性描写に興味はあったので読みたいとも思っていた。大っぴらに性描写を読める奴に対する読めない奴の嫉妬である。そのころ俺は小説にほとんど興味が無く『ハリーポッター』とか『ブレイブストーリ-』だとかしか読んだことがなかった。
 確かそのとき『阿修羅ガール』はスルーされて結局最初に読んだのは『世界は密室でできている』だった。
『世界は密室でできている』 

 内容は中学生二人がよくわからん調布市での殺人事件に巻き込まれ、主人公の相棒のルンババが名探偵なのでそれを解決する! といったものだった。舞城王太郎ではよくあるけれど、死体の中に死体がぶち込まれているような殺人だった気がする。まぁ、俺は厳密なトリックには興味が無いので、舞城のミステリー的なやる気という奴はどっちかというとどうでもいい。この作品は青春なのだ。ルンババの姉(ユキちゃん?)を助けられなかったという想いと家族との軋轢が閉じこもった箱を破壊するのだ。姉は良心のせいで死んだ。その恨みを箱を破壊した先に見えるものは美しいものなのだ。ルンババが自殺しそうになったとこを主人公が助けたりなんやりしたような終わりやった気がする。

「おれたちはなんで生きてるんや、何のために?」
「生きていていいんか、ほんとに」
「ユキちゃんは死んだんや」
 窓硝子が破れてルンババが落ちてくる。僕はそれを受け止めることができる。

 

 

 「やっても減らないって聞いたけど、やっぱり減った。返せよ、私の自尊心」
 阿修羅ガールはこんな感じの始まりなんだけれど、たぶん違う。なんかもっと女子感があったんだよなぁ。やった男は鈴木だったか……なんだったか。
阿修羅ガール
 私がSEXして、生活しているうちに、ハルマゲドンが始まる。掲示板とかでやばいやばい! 世界やばい。とか言っている。破壊が始まり、私は走る。心象風景的な森の中で敵を倒す。そして、最後の敵は最初のSEXの相手鈴木! 倒す!


阿修羅ガール』はほぼ覚えとらん。

好き好き大好き超愛してる』もいつ読んだか。どこかの病室で読んだ気がする。
セカチューへのアンチテーゼとして書かれたとか誰かが言ってた。

好き好き大好き超愛してる
 肋骨の中に虫がいてそれが彼女を食べていく。彼女は世界を救わないといけない。肋骨を広げて機械と合体して滅びから世界を救うため戦いに行く。ヨシオとか、トキコとかユキコやらそういうカタカナの人たちが戦っていた気がする。死ぬと記憶から消えてしまうのだ。……これは違う小説か?
 思い出せないッ!! ファック!

「彼女だけが大切なものだったから、箱に入れてしまっておきたかった。肋骨の間が僕らの繋がりを示す場所で肋骨で僕らはFUCKした」

煙か土か食い物か』デビュー作のタイトルが思い出せない。これであってたか。

奈津川四兄弟の話で、アメリカでチョキチョキ手術しまくる三男が帰ってくることにより,家族内での問題が勃発する。これも父親とかとの問題の話だった。ルンババもまた出てきた。
「ファックファックファック!!」
「人の身体を切り刻むのは、線を入れられた服飾用の布を裁ちばさみで裁っていくような軽快さで心地よく行われる」


『SPEEDBOY』

 戯画化された竜が表紙の文庫版。
 イタリア旅行に行く日に成田空港で購入した。初日のバスの中で草原にアンドロイドは電気羊の夢を見るの旧版のジャッケットみたいな羊の群れが走り回っているのを見ながら読んでいた。
 背中に馬の鬣のような毛を生やした少年は走り続ける。そして、何よりも速くなる。空から襲いかかる化け物を空に浮かぶ泡に乗って追いかけて倒す。水の上に立っている白い女の子もいた。

『スクールアタックシンドローム

我が家のトトロ、ソマリアサッチアハート?、スクールアタックシンドロームの三編が入った短編集だった。文庫で読んだ。学生服の白シャツとスラックスの、金髪少年が椅子の上で三角座りをしている。教室は薄暗く彼しかいない。

『淵の王』