EVERYTHING IS

想起特訓。忘れかけたことを思い出すのだ。

小説

 小説を書く意味って何?
 伝えたいとか、そういうのだろうか。
「初期衝動を忘れてしまった行動はしびとのようだ」
 始まりはパレードだった。ラッパの音が鳴り行進が始まると空から花びらが舞い落ちてくる。そこは喜びで溢れていた。
 自分の中から消えてしまった夢や熱や志はどこに行ってしまったのだろう。
「かくれてるんならでておいで」
 わざとそうやってわからない振り、してるみたいな、嫌な感じだ。
「正直さと誠実さが美徳だよ」
「本気になるのが怖いのかい?」そこに何も無いかもしれないから。
 彷徨っているのは君だけじゃないかもしれないけれど、それで満足できるの?
「君は満足したがってるけれど、まだまだ足りないとわかってる」
 君は努力したがってるけれど、努力できていないししてない。
「足りないのはわかってる。わかってるのに、努力できない君の怠慢」
「君が全部悪いし、実力不足。やる気も無いのに大志はあると? ただ、かわいそうだね、って思う。祈ったって変わらない。君は、ただ前へ」
 前に進んでいないのなら、努力が足りない。簡単だ。前に進むまで努力すればいい。簡単だ。努力できない? なぜ? 原因を一つずつ刈っていこうね。他の全部を塵箱に入れたら、書くんだよ。
「記憶と想像が入り交じり、何が本当かもわからなくなって、正しい感情とか正しくない感情、ほんとにあった感情や、知らないエピソード、ファミリーレストラン、架空の辞典や、乗り捨てられた自転車の空気圧、フィクションの意味は、現実と同じように人の感情を動かして、感じさせる。何を?」
『伝えたい』
「最終的に辿り着くゴールはここだ。それがわからなくたって書いていい。書いていくうちにわかっていくのかもしれないし、余計わからなくなるのかもしれない。何を書いてるのかもわからなくなるし、わかっていたのに離れていくし、伝わらないって泣きじゃくりながら何も伝えたいことが無い」
 その言葉や文章に意味はあるのか。
 読んだ時、何かを手に入れる。何かが身体を風のように通り抜ける。
「学生時代はとっくに過ぎ去ってしまっているのに、まだ誰かの講義を待っている。教えてもらおうと、机に座り、鉛筆を削り、ノートの前で耳をすましてる。もう、誰も教えてくれないし、元々誰も教えてなんてくれないんだ」
「君がやるしかない、他の誰でも無い」
 そういうことなのだと、意味も無く確信し、意味も無く意味を見いだす。
 根拠の無い確信が運命だと信じてみるよ。