EVERYTHING IS

想起特訓。忘れかけたことを思い出すのだ。

リハビリ 毎日1000字

 文章をあまりに書いていないと書けなくなる。事実を書いて、それに対する自分の考えや妄想を書けばいいんじゃないのか。見た情景を書いて、それについて感じたことを書けばいいんじゃないか。実際に見たものと、実際に見ていないもの。エピソードとはいったい……。


 囚われるとどつぼに嵌まるから、私は考えるのをやめる。

 

 誰かが語っている。それは誰かの声/音声を伴っている。

 

 季節の流れを皮膚の体温変化により感じていた。花火大会は昨日終わった。二尺玉の巨大花火と物量を投入した爆撃にも似た連発花火。実際に爆撃を見たことはないけれど、音の隙間にも花火の音が投入され、空が花火で覆われる時、すべての音が聞こえなくなる瞬間、自分の叫び声さえ聞こえなくなった。耳が何かを聞いているが、何も聞いていないという不思議な感覚。余韻の火の粉とともに拍手の音がこだました。
 書けない時は指先を動かすしかない。何かが内側からぽんと出てくるその瞬間を捕まえるしかない。強盗がいきなり僕の部屋に入り込んできて拳銃を突きつけてくる。全く動機が不明だし、その覆面の奥の顔は見えない。僕は両手を挙げる。何も要求が無いまま無音の間ができあがる。その間に僕は強盗を観察する。目出し帽を被っているが後ろの部分が膨らんでいる。よくよく見ると髪の量が多くそれで膨らんでいるのだろう。よくよく見ると、スーツの胸元が膨らんでいる。女性なのだ。なぜか、僕は落ち着いた。男より女性の方が乱暴では無いだろうという風に考えた気がする。しかし、その瞬間無情にも弾丸は放たれた。音と同時にめまいと気持ち悪さがやってきて、僕の視界は回転する。そのあと腹部から流れ出す赤くよどんだ血が見えた。あのときは痛みと言うよりも熱さや冷たさを強く感じた。僕は意識を失ったが死にはしなかった。僕がこう語っているのがその証拠だ。

 なぜだか抽象性が高い。具体性がいつも見えない。具体名詞を取り入れてみたい。
 細かいディティールを描写すれば具体性が出る。鞄と書いたところを具体的にすると、茶色の革鞄で留め具は金色だった。客観的情報? 使い込まれた鞄はよれているが頑丈そうに見えた。その中には大きなものが入っているらしく、角張った角が鞄の外側からでも見て取れた。何か四角い大きなものが入っている。キューブ。

 徹底的にディティールを掘ってみたい。
 その人物についても細かく掘ってみたい。
 それは語る人物についても同じくだ。
 これから毎日1000字無理矢理でも書く。

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