EVERYTHING IS

想起特訓。忘れかけたことを思い出すのだ。

記憶

「貴方は見た物すべてを記憶できると思っていますか?」
「かすかでも、断片的で一瞬だけしっかり見た物でも、実は脳みそのどこかにあって、私が知らない知識のようなものが出てくる時、自分が覚えていないものが無意識的に組み合わさって出てくるのだと思います。なので、YESです」
「無意識が覚えているだとか、潜在意識だとかいいだすと、宗教の匂いがしませんか」
「私、宗教ってよくわからないので、知りません。それに、実はいままで見た物すべてが私の糧になっていると考えた方が人生が楽しくなります」
「今、私と貴方は会話していますね」
「はい、センセイが質問を繰り出し、私がそれに答えています」
「質問への貴方の答えが貴方の意見になり、私はそれに対する反論を言うこともできます」
「センセイは私の答えに反論したいのですか?」
「まぁ、ただ、戦いたいだけでしょう」
「まぁ、戦いたいだなんて野蛮な。でも、いいです。私、受けて立ちますよ」
「それじゃあ、先ほどは私が質問をしたので、今度は貴方が質問をしてください」
「センセイは私のことが好きですか?」
「……好きとはそもそも何でしょう。これはこの世界においても未だ解決されていないとても重大な問題だと言えます。好き嫌い、欲しい欲しくない。この四つほどの言葉で世界は争っている気がします」
「答えをはぐらかさないでください。私は好きの定義や意味を求めていません。ただ質問に答えてください。好きの定義はセンセイの心の内に秘めて置いてもらいます」
「それでは、生徒として好きですよ」
「つまらない答えですね……」
「おもしろい答えとは何でしょう?」
「それもまた深遠に至る質問ですよ、センセイ」